屋根の修理をするにあたり、皆様はまず何から考えますか?
屋根の修理を検討&ご依頼される前に、最低でも下記の7つの基礎知識について、軽くでもご存知になることをお勧めします。

  1. 屋根材と屋根の形
  2. 劣化の症状
  3. 費用
  4. 工事
  5. 見積もり
  6. 業者
  7. 時期

知らないことで、あなた自身に不利益が発生する可能性もあり得ます。ぜひご確認下さい。

今回は、まず【屋根の形】をピックアップし、詳しくお話していきたいと思います。

屋根の形にも様々な種類がある

屋根形状にはさまざまな種類があり、寄棟屋根(よせむねやね)陸屋根(りくやね・ろくやね)片流れ屋根(かたながれやね)など、形によって特徴は異なります。

寄棟屋根(よせむねやね)は、勾配のある4つの屋根面で構成された屋根形状のことで構造上とても頑丈で台風などの風圧にも強いです。


陸屋根(りくやね・ろくやね)は、傾斜の無い平面状の屋根のことで工場や作業場でよく選ばれることが多い形状です。


片流れ屋根(かたながれやね)とは、一枚の屋根が一方向に傾斜している屋根形状のことで一枚の板を斜めにのせたような形状です。
屋根が片方にしか傾いていないので、雨漏りしにくいと思われがちですが、実は片流れ屋根のデメリットでよく言われるのは「雨漏り」なのです!

今回はその屋根の代表的な形のなかのひとつ【片流れ屋根(かたながれやね)】についてご紹介いたします。

片流れ屋根(かたながれやね)とは?

もともとは、物置や小さめの建物に用いられることが多かったのですが近年では「デザインがかわいい!」「おしゃれ!」と見た目のインパクトやトレンドというところで選ばれる事が多くなっている人気の屋根の形です。
平屋の屋根に用いられるケースが多くみられ、ワンフロアの密集住宅地で使われやすい屋根としても知られています。

フラット35住宅仕様実態調査のアンケートによれば、平成7年には「片流れ屋根」を選ぶ家庭は5パーセント以下にとどまっていましたが、平成24年には19.2パーセントに上昇したとされこれまで定番の屋根であった寄棟屋根を上回る結果となっています。

片流れ屋根のメリットデメリットについて

メリット

  • 片流れ屋根がよく用いられる平屋は、階段がなく移動が楽なことから高齢になっても暮らしやすく、高い位置に窓をつくれるので家の中が明るくなり快適に過ごせる
    屋根裏空間が小さくできるので屋根裏スペースを作って窓を付ければロフトや収納スペースにも活用できる
  • 施工費用が安くできるので低予算でデザイン性が高い住まいができる
  • 片流れ屋根は他の屋根と比べて屋根面が広いため、”太陽光発電パネル”が最大限のせられる。さらに南向きにすると太陽光発電の効率が良くなる(太陽光発電は、光熱費の削減や、売電での収入アップなどのメリットも!)

デメリット

  • 屋根からではなく屋根と壁の境目部分「破風板」と「野地板(野地合板)」の境目から、雨水がつたって、侵入し雨漏りが発生するケースがある(構造上、雨漏りしやすいのが片流れ屋根の特徴。新築物件の雨漏りの75%は片流れ屋根というデータもある)
  • 片流れ屋根は一方向に屋根があるだけなので、軒先のない壁面は雨風や紫外線の影響を受けやすい
  • 屋根に当たる雨水も分散せずに一方向に流れるので、屋根や雨を受ける雨樋が劣化しやすい
  • 換気がしにくい構造から結露によって屋根の劣化が起きる場合がある
  • 重量があって屋根の耐震力が弱まったり、屋根のメンテナンスがしにくくなる

片流れ屋根の雨漏り対策

構造上、雨漏りしやすいのが片流れ屋根の特徴です。新築物件の雨漏りの75%は片流れ屋根というデータもあります。
だからこそ、施工時にはその特徴を踏まえた雨漏り対策をしておくことが重要といえます。


雨漏りを防ぐためには、伝い水が建物の中に入ってこないよう隙間をふさいでしまうのが効果的です。
片流れ屋根の軒下に水切り板金を付ける、破風板を野地板の上まで立ち上げる方法です。


また防水シートで、棟から破風板に至る隙間の部分を完全に覆ってしまうという方法もあります。
同じように、屋根と壁の接合部分も防水シートで覆っておけば、最も雨漏りの可能性が高い場所をふさぐことができます。

換気対策では、まず屋根部分の防水シートを換気能力が高い※透湿ルーフィングにしてもらうのがポイントです。

※ルーフィングとは屋根材の下に敷く防水シートのことです。

さらに、棟からの換気量が多くあるよう、棟換気用の部材をたくさん設置してもらうとよいでしょう。

今必要とされている省エネ住宅にもマッチする片流れ屋根は、これからますます選ばれる屋根になるかもしれません。

メリットだけでなくデメリットも踏まえた屋根選びを!

片流れ屋根のデメリットを知っておけば、屋根の施工時や住まい全体の設計時に、そのデメリットを踏まえた工法にしてもらうことも可能です。


ルーフィング等の工夫を行うだけでなく住み始めた後もメンテナンスをしっかりと行うことによって、このデメリットを解消することができます!
出来上がってから「こんなはずではなかった」ということにならないようにしておきましょう!